金剛山の遭難注意 文殊中尾根ルートの下山

Last Updated on 2024年3月10日

金剛山の下山時の遭難エピソードをよく耳にします。特に文珠中尾根ルートを使った下山は、分岐を間違えてしまい、急勾配で荒れた山中を歩くことになり、迷子になることも珍しくありません。私も以前、ババ谷の方面に行ってしまった経験があります。初めて金剛山に登山される方、ひとり登山の方、夕暮れが迫るとより一層焦りを感じることでしょう。
この記事では、そういったことがないように、ルート地図と分分岐点前後の写真と共に紹介しています。また、なぜ分岐点を間違えてしまうのかを考察しています。お役立てて頂ければ幸いです。

この記事でわかる事
・文殊中尾根ルートの下山道で道迷いしそうな箇所がどこかがわかる
・分岐をどちらに行けばよいかがわかる
・道迷いの原因がバイアスであることがわかる

文殊中尾根ルートの下山

文殊中尾根ルートは通称「あなぐま」と呼ばれており、山頂へのアクセスが良く、安全なルートです。登山時には道迷いはないのですが、下山時に道迷い、いわゆる遭難してしまいます。理由は登山時には気付かない合流点が下山時には分岐点となり、どちらに行けばいいのか分からなくなるからです。
分岐点は3つあります。ルート地図と分岐点の写真と合わせて紹介したいと思います。なお、写真は2023年夏時点でのものです。

文殊中尾根ルート地図(下山)

山頂から下山ルートです。図では上(北)の△が頂上です。紫の太線がルートです。
⓪は文殊中尾根の取付点。①②③は分岐点です。

©Yamareco Inc.

文殊中尾根ルート分岐点写真

⓪文殊中尾根の取付点です。ここを真っ直ぐに行き、木の根の階段を下っていきます。

地図番号①:分岐点(文殊東尾根ルートとの分岐点)

1つ目の分岐点です。分岐点の手前に下の写真のようなベンチがあります。登山道より少し離れた高い位置にあります。これが目印です。ここを過ぎると1つ目の分岐点です。

ここが分岐点です。小さなベンチのある左は文殊東尾根ルートで高い段差の下りです。この分岐は右の細い道に行きます

ここを行ってしまうと文殊東尾根(ハードコース 難)です。登山初心者にとって危険な登山道です。ベンチがあり、登山道も太くて真直ぐな道だから、つい安心してこちらに行ってしまいそうですが、間違いです。しばらく行くと、道は細くなり、だんだん急な下り坂になります。

右の細い道を行くと文殊中尾根です。木に◎のペイントが目印です。細くて地味ですがこちらが正しい。

地図番号②:分岐点(ババ谷との分岐点)

2つ目の分岐点です。分岐点の手前は右が広葉樹、左が杉(針葉樹)の間を下る道です。この突き当りが2つ目の分岐点です。

分岐点には下の写真のような長いベンチがあります。

よく見ると、案内板があります。左が文殊中尾根ですね。

右に行ってしまうとババ谷です。

左に行くと文殊中尾根です。木に◎のペイントが目印です。下りの階段が続きます。

途中、木でバリケードがしてある箇所があります。休憩もできます。バリケードを超えずに右方向に進みます。

地図番号③:分岐点(ババ谷・百ヶ辻との分岐点)

3つ目の分岐点です。林の中にあるので分岐を見逃してしまう方がいるようです。目印は写真右下のような丸太木がクロス(X字)になったベンチです。左に進むと文殊中尾根、まっすぐ進むとババ谷や急勾配で百ヶ辻(登山口)に行ってしまいます。登山経験者でも危険なルートです。理由は2つ。1つ目は踏み跡が少なく道があいまい。2つ目は急な坂道で滑って転倒する可能性がある。

この分岐点は左に進みます。歩いていて道がよく分からない場合は、来た道を戻りましょう。文殊中尾根は登山者が多いルートの1つです。分からない時は人に聞きましょう。

左に進むと文殊中尾根。下りの階段があります。こちらが正しい。

分岐点の「4」とかかれたコンクリートの杭が立っています。文殊中尾根の方向(左)に傾いています。これも目印です。

このようなしっかりした踏み跡の付いた下りの階段があります。しばらく下ると念仏坂の沢の水の流れる音が聞こえてきます。

念仏坂に合流しました。右に下ると登山口方向です。下山完了です。

なぜ? 文殊中尾根の下山で分岐点を間違えてしまうのか

なぜ、文殊中尾根の下山で分岐点を間違えてしまうのか。人間の持つバイアスから自分なりに考えてみました。

  • ほかの登山者について行ってしまう(認知バイアス)
  • 見た目で太い方の道を選んでしまう。(認知バイアス)
  • 鈍感になってしまっている。(選択的注意バイアス)

ほかの登山者について行ってしまう

文殊中尾根ルートは登山者も多く心理的安心感があります。その中には登山者の中にはベテランハイカーもいて、あえて厳しいルートで下山される方がおられます。ほかの登山者の装備品や見た目の雰囲気、グループ登山しているのを見て自分勝手に「ベテランハイカー」と決めつけてしまい、この人に付いていけば大丈夫と思ってしまいます。特定の情報に偏見を持ってしまい行動してしまう。結果、ベテランハイカーは先へ先へどんどん進んで行ってしまい、自分だけが取り残されてしまう。そして遭難してしまうのです。基本的なことですが、ひとり登山は自分が論理的に納得したうえで判断しなければなりません。判断できない場合は、地図を見るか、人に聞いたりしましょう。

見た目で太い方の道を選んでしまう

分岐点で太い道だから大丈夫と偏見を持ってしまい行動してします。文殊中尾根の場合は分岐点①がこれに該当します。太い道の先はどうなっているかという情報がないまま、自分の判断を正当化してしまいます。地図を見るか、人に聞いたりしましょう。

鈍感になってしまっている

下山時は体の疲れ、集中力の低下から心身が鈍感になりがちです。道を間違っていても、その小さな変化に気付かず、進んでしまいます。仮に気付いたとしても、チェックしたり考えたりするのが面倒でさらに前に進んでしまい、遭難してしまうのです。これを回避するには十分な休憩とこまめな小休憩が必要です。山頂でエネルギ補給、水分補給を行い、休憩を十分にとるようにします。また、下山時も意外と体力を精神を使うので、こまめな小休憩をとって、心身の疲れをためないようにします。休憩中に地図の確認やほかの登山者と会話して情報取集しましょう。

まとめ

文殊中尾根ルートは人気のルートの1つです。そのため、地面に踏み跡がしっかりついています。登山初心者の方は踏み跡や地図や目印を見て確認したり、分からない時は人に聞いたりしましょう。みなさん優しく答えてくれますよ。
分岐点を3つ紹介しました。どれも間違えたとしても下山できない事はないですが、初心者には厳しいルートと思います。そして間違えたかなと気付いたら、来た道を戻りましょう。

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