星空を撮るためのカメラフィルターは何?
(2026年3月7日更新)

皆さんは、星空をカメラで撮影したことがありますか。スマートフォンで挑戦されたことのある方もいらっしゃるかもしれません。夜空に輝く星や月はとても魅力的な被写体ですが、いざ撮ってみると「思っていた写真と全然違う」と感じた経験はないでしょうか。
今回取り上げるのは、スマートフォンではなく、一眼レフカメラのレンズ前面に装着する「フィルター」のお話です。星空や天体は、日中の風景とはまったく異なる条件下で撮影する特別な被写体です。カメラを向ければ一応は写りますが、本来の美しさや意図した表現を引き出すためには、ちょっとした工夫や機材の選択が重要になります。
この記事では、一眼レフカメラで星空や天体を撮影する際に知っておきたい「2種類のフィルター」についてご紹介します。それぞれの役割や違いを理解したうえで、ご自身の撮影スタイルに取り入れるべきかどうかを検討していただければと思います。カメラライフをより充実させるヒントになれば幸いです。
| この記事でわかること |
|---|
| ・星空を撮るためのカメラフィルターの種類がわかる ・おすすめのカメラフィルターがわかる ・海外撮影でも必要であることがわかる |
星空を撮るためのカメラフィルター
2つのフィルターを知っておきましょう。
①輝星ぼかしフィルター
②光害カットフィルター
輝星ぼかしフィルター
一般的にソフトフィルターと呼ばれるものです。
輝星ぼかしフィルターの効果
明るい星を強くぼかして大きく見せてくれます。暗い星は多少ぼけますが大きさはあまり変わりません。つまり、人間が目で見たような星空の感覚を再現するフィルターです。星座を撮るときに有効です。
もし、フィルターなしの場合は、明るい星も暗い星も同じ明るさになってしまいます。もう少し説明すると、明るい星はCCDセンサーに蓄光されるとすぐに飽和してしまいます。一方、暗い星も長時間露光すれば飽和してしまいます。こうなると、目では明るさが異なるのに蓄光したことによって明るさが同じになってしまいます。ちなみに飽和とはCCD センサーの赤青緑が全て最大値(100%)になってしまうことを言います。色では光の三原色の合成色、つまり白色になります。
輝星ぼかしフィルターの実例
ここではオリオン座をサンプルに同じ条件で撮影してみました。
Canon EOS 20Da。10秒露出。ISO200。焦点距離35mm。ホワイトバランス固定。絞り4.0固定。撮影日2009/2/11。
①フィルターなし
②ソフトフィルター(PRO SOFTON(A))
③ソフトフィルター(フォグ2)
の3パターンを実写しました。オリオン座の1等星のベテルギウスを取り出しました。
①フィルターなし


②ソフトフィルター(PRO SOFTON(A))


③ソフトフィルター(フォグ2)


考察とおすすめ
私のおすすめは②です。②と③のフィルターで比べてみましょう。ボケ味が違います。
③のフィルターの写真の下方にある植物とその周辺もボケています。全体的に霧の中にいるような、お風呂の中にいるような感じで映ります。つまり全体的にまんべんなくボケた感じです。一方②はボケている部分とぼけていない部分が明確になってます。コントラストがよく、明確に分かれています。個人の感覚にもよりますが、私のおすすめは②です。②のフィルターはKenko社のPRO1D「PRO SOFTON(A)」です。

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光害カットフィルター
光害というのは人間の生活の中で発する光(具体的には街灯や家の明かり、車の明かり)によって、星空が見にくくしてしまうという現象を言います。「ひかりがい」と読みます。夜、街中で空が明るい星空の下で、天体写真を撮ると、本来黒いはずの背景色が灰色になります。天体写真はパシャリと一瞬で撮影するのではなく露光時間をかけて(例えば、5秒、30秒。場合によっては数分)撮影するため、暗い光も蓄光されて明るくなります。背景色が明るくなると、元々淡い天体との分別がつきにくくなり、コントラストが低くなります。メリハリの付いた写真を撮ることができません。対策としては空が暗い、山の中や人里離れた場所、あるいは海外に行って撮影するということになります。
光害カットフィルターの効果
そこで登場したのが光害カットフィルターです。
これを装着すると街灯の光の波長を透過せず、星の光だけを透過することができます。街灯の光をカットしてくれるわけです。まさに魔法のフィルターです。これを装着すると、天体撮影をするために山奥まで行く必要が無くなります。とはいえ、完全にカットしてくれるわけではないため、被写体やお住まいの地域、フィルターの強度を検証しながら調整や調達をします。
光害カットフィルターの実例
撮影場所は光害地(大阪府南河内)です。なお、天体望遠鏡にカメラ本体を直接接続する直焦点撮影法で撮影します。要するにカメラレンズの代わりに天体望遠鏡を使用します。焦点距離800mm。F値は4.0です。カメラの接続部分にコマ収差を抑える「コマコレクタ」という部位に光害カットフィルターを取り付けています。ねじ切りが無いため、セロファンテープで固定しています。

ここではカシオペア座の散光星雲NGC281をサンプルに同じ条件で撮影してみました。条件は以下のとおりです。
Canon EOS 20Da。1分露出。ISO800。ビクセンR200SSDG(焦点距離800mm)。F4.0。LPS-P2フィルター。コマコレクタ装着。EM200で恒星追尾。撮影日2009/10/21。
①フィルターなし
②光害カットフィルター(LPS-P2)
の2パターンを実写しました。
①フィルターなし

②光害カットフィルター(LPS-P2)

考察
ご覧の通り②光害カットフィルター(LPS-P2)の方が、背景が暗く、うっすらと赤い星雲の形が映っています。この画像データを元に、レタッチをかけた画像が下の画像です。

元の写真のコントラストが良いと現像やが画像処理がやりやすく、その効果は抜群です。
光害カットフィルターを使用するにあたり、注意点があります。それは、広角から標準レンズでは使用しない方がいいです。理由は周辺減光が起こりやすいためです。もちろん、カメラやフィルターの種類によって、撮影の現場の条件によって異なります。加えて、光害カットフィルターには強度があります。つまり、光害を強く取り除いてくれる物と、軽く取り除いてくれる物があります。この製品はLPS-P1、LPS-P2、LPS-P3のように強度が違います。強く光をカットするものは、光害とともに星の光もカットされるため、像が暗くなります。対策としては、露光時間をかけなければならないことになります。あなたが撮影する場所の空に応じて、光害の具合に応じて強度を選択するのが良いかと思います。
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海外でも必要なカメラフィルター
光害カットフィルターです。
海外に行けば、光害はないと思われるかもしれませんが、実はそうとも言えません。これは私の体験になりますが、例えばオーストラリアです。大都市シドニーから数100km離れていますが、遠く離れた町の明かりが空を明るくしています。それだけ空気が澄んでいるからでしょうか。また、田舎ですと農園があり、植物のためにライトを照らしていたり、夜中に農作業する方がおられます。生活のためには必要なことではありますが、それが強烈な光害になります。こんな時に役立つのが、光害カットフィルターです。
まとめ
星空を撮るためのカメラフィルターとして2つ紹介しました。輝星ぼかしフィルターと光害カットフィルターです。もちろん必須ではありません。それぞれの撮影スタイルによって、必要性やフィルターの種類も変わってきます。
おまけコーナー
いかがだったでしょうか。
この記事で紹介したフィルターは自分自身が色々検証撮影をした結果、導き出した答えの1つです。フィルターも日々進化しており、ゴーストがあまり目立たないものや、フィルターフレームが薄いものなど、いろいろ販売されています。いろいろ試していただければと思います。
あと、「そもそもフィルターっているの?」という問題。フィルターは知らないうちに増えてしまいます。レンズの直径に合わないものは、ステップアップリングやダウンリングを使い、その結果、ケラレが発生する。装着が面倒くさい。結構値段が高い。一回しか使わないフィルターがある。フィルターが自分の質感に合っているか判断できない。総じて面倒くさい。じゃあ、「そもそもフィルターっているの?」ということになります。
私としては、被写体が暗い天体を対象としていることもあり、フィルターは必須と考えています。特に光害カットフィルターは必須です。昨今、パソコンの画像処理機能の処理技術向上で撮影後に補正することができます。画像処理についてはいろいろ議論がありますが、自分としてはソース画像(RAWデータ)はしっかり残しておいた上で、今ある画像処理機能で仕上げていく考え方です。それはレタッチ機能にAIが搭載される日が近いと思っているからです。便利に簡単にできるようになることは良いのですが、一方で失うものもあると思います。写真に限らず、どの分野でも言える話かと思います。
フィルターの話から大きく反れてしまいましたが、皆さんいかがでしょうか。意見などございましたらコメントに投稿お願いします。

