星空観望会 晴れの日アイテム 小さなホワイトボート
(2025年10月22日更新)

望遠鏡を使って星を観察する「星空観望会」に参加されたことはありますか?。参加者に星を見てもらうのは楽しい体験ですが、主催者としては「ちゃんと星が見えているだろうか?」と不安になることも少なくありません。
この記事では、そんな不安を和らげるのに役立つアイテムをご紹介します。実際に観望会でお客様の反応から気づいた事例をもとに、その原因や教訓を自分なりにまとめました。
観望会を企画・運営される方のヒントになれば幸いです。
| この記事でわかること |
|---|
| ・主催者とお客様の天体のイメージの違いを事例を通してわかる ・アイテムをどう使うかが具体的にわかる |
晴れの日アイテム 小さなホワイトボート
アイテムとは小さなホワイトボードです。
いつも使っている物はセリアで売っている縦20cm横28cm厚さ5mm。ペンはふたの部分に字消しがついていて、磁石でボードにくっつきます。
さて、お客さんがもっている天体のイメージと実際望遠鏡で見える天体のイメージがあまりにも異なると見える物も見えない。見えたような気がする。。。のような状態になってしまいます。具体的にどういうイメージの相違があるのでしょうか。
- スケール感覚の相違
- その天体の明るさ大きさの相違
- 視野のどの辺りに見えるかの相違
次に、具体的に事例を説明します。
お客様の反応から気づいた事例
スケール感覚の相違
はくちょう座のアルビレオを見せる。
事例①
主催者:「アルビレオという二重星です。どうぞ。」
お客様:「今望遠鏡で見えているのが夏の大三角ですか?」
主催者:「?」
お客様:「先程説明されていた星ですか?」
主催者:「いえ、違います。夏の大三角の中にあるはくちょう座のアルビレオという星を見ています。」
お客様:「そうなの。どこにあるのですか?」
主催者:指を指しながら説明する。
主催者:「ここです。目が良い人ならかろうじて星があることがわかります。」
お客様:「わからないな。」
主催者:「人間の目で見えない星を望遠鏡ならはっきり見ることができます。」
お客様:「そうなんだ。」
主催者:「望遠鏡で見える範囲はとても狭いのです。」
お客様:「夏の大三角は目で見えるんですね。」
主催者:「そうです。」
原因①
望遠鏡で見える視野はざっと1°。人間が裸眼で見える視野はざっと90°。
・主催者側が夏の大三角からアルビレオの導線を説明できていなかった。
・主催者側は望遠鏡は視野が狭いことは当たり前と思っている。
・お客様は人間と同じ視野で望遠鏡でみえると思い込んでいた。
教訓①
お客様と主催者側にスケール感覚の相違がある。
ホワイトボート活用①
夏の大三角からアルビレオまでの導線を図で書く。この星を拡大して見ているイメージを図に書く。

明るさと大きさの相違
ヘルクレス座の球状星団 M13を見せる。
事例②
主催者:「これからヘルクレス座の球状星団 M13を見ます。それではどうぞ。」
お客様:「どれ?なんかよくわからないなー。これ?」
主催者:「真ん中あたりに暗い星が密集して見えます。わかりますか?」
お客様:「いいえ、星というより雲みたいな感じに見えます。」
お客様:「真ん中に小さく見えるものですか?」
主催者:「はい。真ん中は密集していて明るく、周りにいくほど暗くぼんやり見えますよ。」
お客様:「言われてみればそうかもしれないな~」
原因②
・天体を見せる主催者側は天体の映像のイメージが頭にある。
しかも天体写真のイメージを持ったままで、眼視のイメージに切り替わっていない。
・お客さんは初めて星を見る人が多く、球状星団と言われてもその特徴がわからない。
・観望会前の説明などで写真を見たとしても、望遠鏡を覗く時にはすでにその記憶がない。
教訓②
主催者とお客様とで星見の経験値の差があることを失念している。
ホワイトボート活用②
星を導入して天体を見た時の眼視イメージを自らスケッチするように絵に書く。見え方は擬態語で絵の横に書き込む。

視野のどの辺りにの相違
北斗七星の二重星、アルコルとミザールを見せる。
事例③
主催者:「それではこれから北斗七星の二重星、アルコルとミザールを見ます。」
主催者:「目では1個にしか見えませんが、望遠鏡で見ると2つに分かれて見えます。」
お客様:「星はいくつか見えるんだけど、どれがミザールでアルコルなの?」
主催者:「左に見えるのがアルコルで、右に見えるのがミザールです。」
お客様:「これかな?ちょっとなの?だいぶ離れてる?」
主催者:「ちょっと」や「だいぶ」といわれても。。。「はい」とも「いいえ」ともいえず沈黙。。。
お客様:「左ってどっちだろう?5~6個ほど星が見えるんだけど。。。」
主催者:「左右に大きく離れて見えるものがアルコルとミザールです」
「右のミザールの方が明るいです」
お客様:「分かったけど、その下にも星があるんだけど。」
主催者:「それはミザールBです。」
お客様:「B?」
主催者:「右側のミザールも二重星になっていて上の明るい星がミザールA、下の暗い星がミザールBです。」
お客様:「おむすびみたいになっているんですね。ありがとう。」
主催者:おむすび?正三角形ということか。
アルコル、ミザールA、ミザールBを結ぶと非常にとがった直角三角形になるんだけどなぜ?
もしかして、関係ない星を結んで正三角形(おむすび)と言っていたのでは?。。。
原因③
・主催者側は対象ばかりに目が行ってしまっている。
・対象外の星が見えてしまってことに主催者側は気付いていない。
・対象か対象外かはお客様には関係がない。それも含めてお客様は質問している。
・アルコルとミザールは同じ白色で明るさが少し違うので分かりにくい。
・主催者側は視野円のどのあたりに見えるかイメージを持っている。
教訓③
星の明るさや視野上の位置を口で説明するのには限界がある。
ホワイトボート活用③
明るい星は大きく、暗い星は小さく絵に書く。お客様が見る上下左右と視野円に対して正確にスケッチする。たくさんの星が見えるので星の名前を書く。

小さなホワイトボートによる効果
言葉で説明するよりも簡単なスケッチを書いた物を見てもらった方がイメージしやすい。まずお客様にイメージを持ってもらって、望遠鏡を見てもらうことができます。
直接的なメリット
- 星を見つけやすい。
- 見えない、見えないとイライラすることがなくなる。
- 1人当たりの時間が短縮され、全体の回転率が良くなる。
- お客様の満足度も向上する。
間接的なメリット
- その場ですぐに書いたり消したりできる。柔軟である。
- 白黒なのでコントラストがはっきりしているので見やすい。
- 軽量で持ち運び可能。
- ぶら下げることもできる。
- 持ち歩いくことができるので後ろに並んでおられるお客さんに事前に紹介するなどして退屈させずに済む。
- お客さんから質問を受けた時に口頭説明するよりも図で書いた方が分かりやすい場合がある。
- 子どもが興味を持ってお絵かきをする。子どもが走り回ることを防げる。

ホワイトボードの代替
タブレットにお絵かきアプリをインストールしてホワイトボードの代替として使うことも可能だと思っています。検証はしていませんが、タブレットの画面が明るすぎて観望に支障が出ないか、精密機械で故障しないかなどを懸念しています。今後、検証を進めていきたいと思っています。
まとめ
観望会の主催者側とお客様とのイメージギャップの差を埋めるために、小さなホワイトボードを活用してみてはいかがでしょうか。
おまけコーナー
いかがだったでしょうか。
望遠鏡で星を見せる側としては、「心の目で星を見ましょう」という言葉をよく使います。その言葉の背景には「星の光は非常に淡く、見るのが難しいので、想像しながら見ればきっと見えるよ。」というメッセージが込められているように思います。それを言葉ではなくて、心の目をホワイトボードで可視化することによって、より明確に統一的にイメージが伝えられるのではないかと思います。また、大規模な観望会の場合、望遠鏡の後ろに長蛇の行列ができます。皆さん暇そうにしておられ、やっと自分の番が回ってきて、「さて、何が見えるんだったっけ?」「どんな天体だったっけ?」と焦り、さらに後ろに人が並んでるのでさらに焦り、「見えたことにしてしまってる」方も、若干いるのじゃないかなと思います。そういったことを防ぐアイテムとして、今回小さなホワイトボードをあげてみました。
今やデジタルデバイスが標準となりつつある中、昔ながらの板書で手書きで表現するというのも何か懐かしく、味わいがあるので良いのではないかと個人的に思っています。
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