星空観望会 晴れの日アイテム 天体記録簿
(2025年10月22日更新)

望遠鏡を使って星を観察する「星空観望会」に参加されたことはありますか? それとも、ご自身の望遠鏡を使って天体観察や天体写真の撮影を楽しまれているでしょうか。星や惑星を見たり、撮影したりする体験はとても特別で感動的なものですが、「あのとき何を見たのか」「どんな設定で撮影したのか」といった大切な記録は、つい時間が経つと忘れてしまいがちです。せっかくの貴重な体験を残すためには、やはり観察記録をつけることが大切だと私は考えています。
そこで、この記事では天体観察、特に天体写真撮影をされる方に役立つよう、必要な項目を網羅できる記録用の天体記録簿を用意しました。観望会の思い出や撮影データをしっかり残したい方に、自由に使っていただければ嬉しく思います。
| この記事でわかること |
|---|
| ・天体記録簿の記録項目がわかる(参考として) ・記録することのメリットがわかる |
晴れの日アイテム 天体記録簿
天体記録簿は星空観望会で見た星や天体を記録する用紙です。星空観望会に参加する方々の個人個人の目的によって、天体記録簿の使い方が変わってきます。目的の例を挙げてみます。
①レジャーやリフレッシュとして
②新しい体験として
③学びのきっかけとして
④より深く天体を知りたい
⑤天体撮影をしたい
このように目的を広い範囲で分類してみました。①より⑤に近づくほど目的が明確です。天体記録簿は①②③では不要かもしれません。逆に④や⑤では今後のために必要と感じています。
天体記録簿の紹介
私が普段使っている天体記録簿を紹介します。これを紙にプリントして手書きで記録します。ダウンロードしてテンプレートとして自由に使っていただければ嬉しく思います。
天体記録簿のダウンロード

天体記録簿のダウンロードはこちらから。
天体記録簿の書き込み例
私はこんな風に記録しています。屋外で観測しながらの記録するため乱筆です。この日は風が強く朝方は結露したため用紙がシワシワです。

天体記録簿の項目の補足説明
記録の仕方を補足説明したいと思います。あくまでも私の場合ですので参考にどうぞ。
ヘッダ部分
ここには全体に関連する共通事項を記載します。
- 撮影日時は撮影開始日時を書くことにしています。撤収時間はいつも書き忘れます。
- 撮影場所と気象条件を書きます。
- 雲量は0は雲なし100は雲だらけと決めて10刻みの数値で書き込みます。撮影開始時の雲量を書きます。
- シーイングや透明度を5段階で書きます。シーイング(seeing)とは大気による天体像のボケや揺らぎ具合です。
ピント合わせの試写の時に直感でシーイングを判断します。普通の時は面倒なので記録してません。
1は非常に悪い、2は悪い、4は良い、5は非常に良いと決めています。 - カメラを望遠鏡に取付けたときどの4辺が北かを記録します。光害カットフィルタを使ったので「LPS」と書きました。
天体名
最も大切な項目です。撮影した天体を時系列に書きます。できれば大体の時間も書いておいた方がいいけれどいつも忘れる。
- 天体名は自分が分かりやすいように記載しています。NGC1234と書くのが面倒なのでN1234と書きます。
- 所属星座名を添えて書くことがあります。
- ダークフレーム、フラットフレームも書きます。文字数が多いのでダークフレームはDF、フラットフレームはFFとしています。
ダークフレームは露出時間、ISOも記録します。 - 星景写真を撮った場合は「木の横に横たわるオリオン」のようにイメージを書いておきます。
- 星以外(景色、機材、朝焼け)も書いておきます。
焦点距離
焦点距離はカメラレンズで撮影した場合はファイルのプロパティーに記録されますが、望遠鏡で撮影した場合はプロパティーに記録されません。そのため
・どの望遠鏡で撮影したのか
・レデューサを使ったのか
・バローレンズ、エクステンダーを使ったのか
によって焦点距離が異なりますので記録が必要です。
露出時間・絞り・ISOなど
露出時間・撮影枚数・絞り・ISOはファイルのプロパティーに記録されます。そのためわざわさ記録する必要はないのですが、
・同じ天体の露出時間を最初は3分で、次に5分に変更した
場合は2行に分けて書きます。
撮影方法・ガイド・冷却
撮影方法は
・直焦:直接焦点撮影法
・コリ:コリメート撮影法
・拡大:拡大撮影法
・カメラ:カメラレンズによる撮影
に区別しています。
ガイドは
・固定:三脚などで固定撮影
・追尾のみ:赤道義の赤経モーターで追尾
・ガイド(手動):赤経モーターと眼視による追尾補正(ガイド鏡使用)
・ガイド(自動):赤経モーターとコンピュータによる自動追尾補正(ガイド鏡使用)
に分類しています
冷却は冷却装置などでカメラのCCDを冷やした場合に「〇」を付けます。センサーがあれば冷却温度を書くのもよい。
評価・フッダ部
評価は撮像をモニターで確認し直感で上出来・不出来を判断します。私は
・〇:良いと思う
・△:不出来かもしれないが、画像処理対象
・✖:失敗。画像処理対象外
・?:そもそも天体が撮れているか分からないので持ち帰り検証
に分類しています。
同時に備考やフッダ部に雑多なメモや感想を自由に書いています。例えば
・追尾ダメショットあり
・途中で雲
・レンズ結露
・ピンずれ、修正ラスト4枚
・途中で西に振った
・小さい、しょぼい
・流星はいった?
・雷光はげしい
・薄明中
・次回は○○星雲を焦点距離800でリトライ
・○○星団は時間切れ
・アダプタの六角ねじ緩みを調べる
・○○さんが合流
・寒い、お湯いる、カイロも
などです。
天体記録簿のメリット
ファイルのプロパティーに記録されない情報を書き留めておくことが最大のメリットです。それに付随するメリットを挙げます。
- 画像処理の優先順位、力の入れようの参考(源泉)になる。
- フィードバックができる。
反省点を振り返る
次回の撮影計画(持っていくもの、場所選び、時間帯など)に役立つ - 紙のよさ。
さっと書き込める。自由に書き込める。絵も描ける
電子モニターと違い目に優しい
まとめ
天体記録簿があると、電子機器に記録されない情報を書き留めておくことができ、フィードバックをするのに役立ちます。
おまけコーナー
いかがだったでしょうか。
2020年代に入って、電視望遠鏡によって撮影と画像処理が同時に実行できるようになりました。技術の進化には驚くばかりです。2010年頃までは天体を撮影をして、そのデータを翌日に家のパソコンで画像処理をするという2つの工程が必要でした。撮影の後、睡魔に負けて寝てしまうと何を撮影したのか、ダークフレームはいつ撮ったか、そもそもこの日の機材の調子はどうだったのかを忘れるものです。そういった意味では記録(というより雑多なメモや感想)は大切かと思います。また、画像処理には時間がかかるため「どの天体を優先的に画像処理するか」という計画を立てる源泉にもなります。私自身は雨の日に画像処理をじっくり時間をかけてするのが楽しみの一つです。半年分くらい未処理の画像が溜まっていますが、天体記録簿があれば大丈夫ですね。
なお、この天体記録簿は天体写真撮影用のテンプレートになっています。星空観察会に初めて来られたお客様用に使える「お手軽なテンプレート」を開発・検証中です。後日ご紹介したいと思います。
意見などございましたらコメントに投稿お願います。


