ホルンのロータリー調整によるメリットとデメリット
(2024年8月20日更新)

ホルン演奏中に楽器のお手入れ不足が原因で演奏に支障が出たことがありませんか。ロータリーの回転がぎこちなく、それが原因で「音外し」「音の立ち上げの遅れ」などに繋がったりしていませんか。私はロータリーオイルを差しただけでは解決しなかったので、ロータリー周りの調整(リペア)に出すことにしました。
この記事では、私自身の体験から初めてロータリー調整して気付いたことをまとめました。何かのご参考になれば幸いです。
ホルンのロータリー調整によるメリットとデメリット
メリットとデメリットを説明します。
メリット
運指がスムーズで引っかかるところがない
ロータリーの回転がスムーズです。新品で楽器を買った頃を思い出します。押した後の戻りも早いです。そのため、速いパッセージやトリルがはっきり演奏できるようになります。
指ごとのレバーを押さえる感覚の差がなくなる
レバーを押さえる力の差がなくなったため、指の負担が減りました。
運指による雑音が小さくなる
私の楽器は、ロータリーの回転幅の端に黒いゴムが付いています。このゴムが劣化していて、鉄のように固くなっていました。ここにロータリーが当たって、カタカタと異音がしていました。黒いゴムを新品に交換してもらい、雑音が小さくなりました。
吹奏感が変わる
ロータリーの汚れがなくなったおかげで、息が通るようになりました。息の量が増え音色も変わりました。
なんだか気持ちがいい
ロータリーの裏側はオイルでギトギトになっていて、そこに細かいホコリが付着していて汚い。リペアさんのサービスでしょうか。掃除しにくい箇所がきれいしてくれていました。新品の楽器の様に気持ちが良い。
デメリット
吹奏感が変わる
吹奏感が変わる原因はリペア前の楽器の「癖」や「慣れ」だと思っています。私の場合は、息が通るようになったおかげで、音を上に外してしまいます。これも練習で楽器に慣れていくしかありません。
どれくらいの頻度で調整するか
頻度については、個人差がかなりあると思います。
プロ、アマチュア関係なく、毎年定期的に調整をやっている方もいらっしゃいます、そうでもない方もおられるようです。私の場合は、演奏する前に必ずオイルをさせないとロータリーがぎこちなくなってしまうことが毎回続くので、仕方なくリペアに出しました。
楽器の使用頻度や奏者の考え方があるので、頻度については答えがありませが、リペアさんとしては年1回を推奨されてました。
調整費用はいくら?
プロの楽器修理(リペア)の方に任せることになるので費用がかかります。一般的なレートは1つのロータリー調整で5000円前後。フルダブルホルンの場合は ロータリーが4つあるので2万円ということになります。(2023年情報)。もちろんBF切替ロータリー1つだけのリペアも相談の上、可能かと思います。
自分の場合は、ロータリー清掃(分解)の技術もなく、道具もありません。ロータリーの内部構造はブラックボックスです。自分で調べながらやるにしても、失敗するリスクもあります。そのためプロのリペアの方に任せることにしました。
調整までの手順
まず、リペアの方(楽器店・個人店)に連絡を取って日程や予算を相談します。新学期が始まる4月、5月など、学校の部活で使っている楽器のリペアが殺到する時期で、1ヶ月待ちということもあるそうです。自分の演奏スケジュールに合わせて日程調整しましょう。
楽器の搬入方法、搬出方法、調整にかかる時間、支払い方法、支払いのタイミングを確認します。
個人的には搬入搬出は送るのではなく、自ら足を運んで持っていったほうが良いと思います。その方が楽器は安全です。
メリット・デメリットでも書きましたが、リペアすると吹奏感が変わります。個人的には、演奏会本番など大切な行事が終わった後に調整するほうが良いと思います。
個人的に調整してもらって良かったこと
私の場合、楽器を買って30年近く過ぎて初めてのロータリー調整をしました。最初の10年は週2日ペースで吹き、やがて、約20年押入れで冬眠状態でした。たまにロータリーオイルを指し、抜差管にグリスを塗り、自分なりに手入れはしていたつもりです。シニアに楽器復活で週4日ペースで吹いている中でロータリーのぎこちない感じ、ロータリー紐の摩耗が今回の調整のきっかけになりました。
リペアさん探しはホルン仲間からの紹介で、個人店にアクセスすることができました。
リペアさんの話によると、ロータリーとその周りには30年分の汚れがあり、「やりがいがありました」とのこと。恥ずかしい話です。幸いロータリー部品交換はなく、掃除と調整で済みました。部品交換となると費用も掛かりますし、部品自体がない恐れがあります。実際、私の楽器は現在製造中止となっていることをこの時に知りました。
もう1つ良かったことは「楽器について相談できる」ことです。私の場合、演奏中に左小指が痛くなる問題がありました。相談したところ、私の手が小さく小指をひっかけるために無理している。その影響でレバーを真上から押せず、わずかに斜め下から押している状態でした。対策としては小指のひっかけ部品を固定式から可動式に交換してみてはどうかと提案があり、可動式に変更しました。現在、試行錯誤しながらベストなポジションを模索中です。このように楽器に関する相談できることは、課題解決や知識経験につながります。
総じてロータリー調整により楽器が新しくなったような感覚を覚えました。
まとめ
ホルンのロータリーは汚れが溜まりやすく、演奏に影響する大切な部位です。週1日程度吹く方であっても年月を経れば汚れは蓄積します。押入れに楽器を寝かせている方は金属「さび」が発生しているかもしれません。
楽器を長く使うためにも少々お金はかかりますが、計画的にロータリー調整してみてはいかがでしょうか。