2022年 皆既中の天王星食! 撮影方法ポイント

(2024年7月29日更新)

星食

2022年11月8日に全国で皆既月食が見られます。今回の皆既月食は珍しいことに、皆既月食中に天王星が月の裏に隠れるという「天王星食」が同時に起こります。
この様子を是非写真に残したいものですね。
私自身、星食の写真を撮ってきました。その経験から天王星食撮影方法を記事にまとめました。参考にしていただければ幸いです。

天王星食! 撮影方法のポイント

天王星食を撮影するにあたってのポイントをいくつか次に示します。

望遠鏡が必要

できるだけ太い望遠鏡(口径8cm以上)が良いです。口径は望遠鏡の筒の太さを意味します。
太い望遠鏡のほうが、たくさんの光を集めれるからです。
あと、望遠鏡付属のしっかりした三脚が必要です。赤道義が撮影中追尾できるので、あればより良い。
より大きく撮影したい方は、バローレンスやエクステンダーを装着します。

シャッタースピードを調整できるカメラが必要

露光時間、コントラスト、ISO、電子シャッターなどの設定変更ができるカメラです。カメラはマニュアルモードで撮影します。
例えばキャノンデジタル一眼レフの場合、ダイヤルを「M」に合わせます。カメラーのメーカや種類によって設定が異なります。これらの設定変更手順は事前に熟知しておきましょう。

シャッターチャンスを見逃すな

天王星の公転周期は84年ですので、84年に一度しか満月と会合しません。
しかも満月がいつも皆既月食になり、しかも日本から見れることは稀ですから、珍現象と言えます。次回の皆既中の天王星食は西暦2235年で、日本では見れません。海外行ってみることになります。日本で次回見れるのは442年後になります。

天王星食の時間は場所に異なるので注意が必要です。
例えば 東京は 潜入20:41:02.4 潜出21:22:37.0
    大阪は 潜入20:31:21.6 潜出21:20:20.6
    那覇は 潜入20:13:16.3 潜出20:54:11.3
天王星が月に接して、完全に月に隠れるまでわずか10数秒です。
この間、一発撮りでは心もとないので、連写(連続撮影)をしましょう。
例えば、手動で1秒に1~2回のペース。
音楽のテンポでいうとアンダンテ~アレグロのカウントでシャッターを切ります。

月と天王星の明るさの違いの問題をクリアする

天王星は5.6等星と暗い星です。一方、月は-12.6等星と非常に明るい。
1642倍の明るさの違いがあります。しかし、皆既月食中の月は地球の影の影響でかなり暗くなります。
このため、
 ①月は赤く写っているけれど、天王星が写っていない。
 ②天王星は写っているけれど、月が白っぽい。
ということが起こります。

これをクリアするには撮影後に画像処理をします。簡単に言うと①と②の両方の写真を撮り、加算平均で合成します。多段階露光とも言い、最近のスマートフォンについている自動合成「HDR機能」です。画像処理により高度差が少なくなり、結果、月と天王星の両方がうまく映ります。

LOWで撮影

画像処理をする時の為にLOWで撮影することをお勧めします。LOWとは加工なしの生データです。ですのでファイルサイズは大きくなりますが、画像処理をする際に細かい部分引き出すことができます。
また、天王星は小さいので、解像度は一番大きいものを選択します。例えばキャノンデジタル一眼レフの場合、「L」(ラージ)を選択します。

撮影場所はできるだけ暗い空の下で

天王星は見かけの大きさが小さいです。星とほとんど区別がつきません。暗い空の下で、空で星を見るのに慣れている人が、裸眼でかろうじて存在確認ができるほど難物です。一方、月は大都会でも誰でも確認できるます。
天王星の見かけの大きさは3.8秒角。
一方、月の見かけの大きさは32.2分角。
桁が違います。508倍の違いです。

天王星は小さく暗いので、コントラストをあげるために、できるだけ暗い空の下がよいでしょう。
街に近い場所で撮影する場合は、光害カットフィルターを付けましょう。

まとめ

皆既月食中の天王星食は珍しい現象であるので、うまくカメラに撮影できることを願っています。あとは天気。
晴れる事を祈るばかりです。

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(2024年7月29日更新) 現在50代サラリーマン、アストロコミュニケータ、ホルン吹き、登山人。化学知識をもって天体世界を案内しています。楽器演奏と登山に共通する心理に…

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