準惑星 冥王星を見るには
(2026年9月15日更新)

皆さんは、冥王星をご存じでしょうか。かつて冥王星は、太陽系の「第9惑星」に数えられていました。「水金地火木土天海冥(すいきんちかもくどってんかいめい)」という語呂合わせで覚えた方も多いのではないでしょうか。しかし現在、冥王星は「準惑星」に分類されています。そんな冥王星ですが、実は肉眼で見ることはできません。では、どうすればその姿を確かめることができるのでしょうか。
この記事では、肉眼では見えない冥王星をどのように観察すればよいのか、その方法をわかりやすくご紹介します。天体観測が初めての方にも参考になる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
| この記事でわかること |
|---|
| ・冥王星を写真や動画から特定・検出する方法がわかる ・冥王星はとても暗い星であることがわかる ・小惑星検出でも同じ方法が使えることがわかる |
冥王星を見るには
冥王星の明るさは14等星でとても暗く、肉眼で見ることはできません。双眼鏡でも見ることはできません。天体望遠鏡を使って見ることはできるのですが、冥王星は白い点でしか見えないため他の星と区別がつきません。これが本当に冥王星なのか特定ができません。最近はコンピュータと連動し、天体を自動導入してくれる優れた天体望遠鏡もあり、写真撮影もしてくれます。写真の中央に冥王星があると思われますが、同じような星(白い点)が周りにたくさんあるので疑心暗鬼な気持ちになります。特定ができないことが一番の問題です。
さて、視野の写真の星の中で冥王星はどれでしょう。下の写真は焦点距離800mmでセンサーサイズAPS-Cのカメラで撮影したものです。

オレンジ色で囲ったところに冥王星があります。縦に3つ星が並んでいますがいずれも冥王星ではありません。冥王星はとても暗い星です。

冥王星を検出・特定するには
冥王星を検出・特定するためには違う日に2枚の写真を撮って比較することです。冥王星は太陽の周りをまわる準惑星ですから、日ごとにわずかに恒星の中を移動します。その移動している様子を検出することで、その白い点が冥王星であることを特定できます。冥王星を見るには
①写真撮影をする
②検出する
というプロセスを踏みます。では、具体的に検出の方法を見ていきましょう。
写真で冥王星を検出する方法
冥王星は暗い星ですが、天体望遠鏡を通して写真を撮ると映ります。冥王星は準惑星で太陽の周りをまわっているため、ごくわずかに恒星の中を移動しているように見えます。この特性を生かして、例えば2日ごとに同じエリアを同じ条件(倍率、画角、ISO、露光時間)で撮影します。
例えば7月18日(写真A)と7月20日(写真B)といった具合です。
撮影した写真をパソコン上のソフトウェアで恒星が重なるように縦横方向や角度を合わせます。その2枚の写真を比較してみると違っている場所があります。この星が冥王星と考えられます。


目で比べるのはとても大変な作業ですから、パソコンで画像を減算合成します。
具体的には写真Aー写真Bをすると恒星は暗くなる、あるいはなくなりますが、冥王星は残ります(写真C1)。逆に写真Bー写真Aをすると同じく、冥王星は残ります(写真C2)。分かりやすいように画像に矢印をつけておきます。


残った冥王星(写真C1)と(写真C2)に元の撮影した写真を画像合成処理で比較明で合成します。
写真D1=写真C1+写真A
写真D2=写真C2+写真B
写真D1とD2を並べると、冥王星が移動しているということがわかります。移動方向が概ね黄道方向であればそれは冥王星です。不安であればもう1日例えば8月22日に撮って冥王星を並べると直線状になります。


さらに、写真D1と写真D2を比較明合成すると、移動した離角を周りの恒星の位置から測定(計算)することができます。その計算値と天文年表のデータと比較して近い数字であれば、冥王星と断定することができます。
写真D3=写真D1+写真D2

動画で冥王星を検出する方法
写真の画像を動画にして変化を検出する方法です。
パソコンで2枚の画像をGIFアニメに変換する方法です。変換の方法はインターネット上の無料ツールに2枚のJPEGファイルを読み込ませ、GIFファイルを作成しダウンロードします。下の画面の中央で左右に動いている星が見つかると思います。この星が冥王星と考えられます。

検出する喜び
星図を元に星をたどりながら特定する方法もありますが大変な作業ですし見間違いもあります。もちろん明るい恒星のそばにたまたま存在する時は見つけやすいですが、画像データ(ソース)の量が減ってしまいます。できるだけ日ごとの画像データを集めることが特定のスピードと精度を上げることにつながります。冥王星の場合はただの白い点ではありますが、はるかに遠い星が「地球と同じように太陽の周りをまわっているんだ」ということを写真や動画を通して実感できます。それを喜びと感じるかは個人の捉え方に寄るかと思います。
小惑星の検出にも応用できる
小惑星の検出も同じ方法が使われています。小惑星も太陽の周りをまわっているからです。太陽系には無数の小惑星があります。その中でも比較的明るく、見つけやすい小惑星が4つあります。これを4大小惑星と呼びます。
| 小惑星(名称) | 明るさ(等級) | 発見年 |
|---|---|---|
| ケレス | 6.7 | 1801年 |
| パラス | 6.4 | 1802年 |
| ジュノー | 7.5 | 1804年 |
| ベスタ | 5.1 | 1807年 |
| (参考)冥王星 | 14.3 | 1930年 |
まずは練習に4大小惑星の検出から始めてみませんか。
まとめ
冥王星を見るには写真撮影をしてパソコンで検出するというプロセスを踏みます。写真撮影するためには天体望遠鏡とカメラ(一眼レフカメラやCMOSカメラ)が必要になります。検出するためにはパソコン上の画像処理ソフトウェアが必要で、減算処理で冥王星をあぶりだします。
おまけコーナー
いかがだったでしょうか。
私はたまたま2015年に「星ナビ」という雑誌で、冥王星の衝(1年で一番明るく見やすい)の特集記事を目にしました。記事にはかなり詳細な星図が掲載されていまして、これをきっかけに観察を行いました。紙面には日ごとの冥王星の位置が記載されていたため、自分の撮った写真と比べて冥王星だと特定する後ろ盾となりました。そこで思ったことは、やはり詳細で正確な星図が必要で、星図がないと冥王星にたどり着けないということです。
4大小惑星(ケレス、パラス、ジュノー、ベスタ)は明るく、しかも移動角が大きいため、ソフトウェアで画像合成処理をかけずとも、目視で検出することができました。それに比べ冥王星はとにかく移動角が小さいため、検出に苦労しました。点だらけの画像からソフトウェアの力を借りて検出します。白い点だらけの写真をモニターに映していると、「パパは点々見て、何をしてるの?」と子どもに言われる始末。どう説明すればいいのか。。。そのような状態でした。モニターに1つの点(冥王星)が現れた時、ぞわぞわと「検出する喜び」を体験することができました。1930年冥王星を発見したトンボーも同じ気持ちだったかもしれません。
ちなみに冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」には天文学者クライド・トンボーの遺灰(骨)が搭載されたようです。トンボーさんも発見から約85年後の2015年にようやく冥王星を仰ぎ見れたのですね。
意見などございましたらコメントに投稿お願いします。ありがとうございました。

