惑星直列=惑星パレード? 誤解を生みやすい言葉

(2025年6月23日更新)

惑星直列と惑星パレード

最近、星占いのブームもあって「惑星直列」や「惑星パレード」といった言葉を耳にする機会が増えています。でも、この2つの言葉には違いがあるのでしょうか?
この記事では、天文学の視点から、よく混同されがちなこの2つの言葉についてやさしく解説します。
ちょっとした雑学ですが、話のネタにぜひどうぞ。

この記事でわかること
・惑星直列の意味が分かる
・みかけの惑星直列と黄道座標の惑星直列があることが分かる
・今後の惑星直列、天変地異のことが分かる
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惑星直列=惑星パレード? 誤解を生みやす言葉

惑星とは地球と同じく太陽の周りを公転している天体です。「惑う星」と書くように常に同じ位置にはない星です。例えば惑星の1つ、木星は1年毎に西から東へ星占い12星座を移動します。本題に戻りましょう。

惑星直列=惑星パレードか。結論はその通り同じ意味です。惑星直列は天文用語、惑星パレードは口語的で広義な意味です。ただ誤解を生みやすい言葉と思ってます。「直列」と「パレード」はいずれも列をなしているという意味です。ただ、直列というとまっすぐ直線という強い意味が含まれています。
2025年2月28日、8月10日に惑星直列が起こると話題になっています。話題になるのはスピリチュアルな面もあるかと思われます。
惑星直列とは、複数の惑星が同時に夜空に見られ、直列しているように(黄道に沿って)見える天文現象です。同時に見れる惑星の数の定義はありません。つまり「見かけの惑星の位置」ということです。逆に「黄道座標」ではないということです。

見かけの惑星直列

見かけの惑星直列は次のようなイラストイメージです。夜空の中に惑星が複数個列をなして並んでいる状態です。

惑星パレードのイメージ

この時の惑星の位置を太陽系を上から見た軌道に置くと次のようになります。地球から見てある方向に惑星が集まっている位置関係です。こうみるとかなり散らばっていることがわかります。水星や金星が惑星直列の仲間に入るためには日の入り直後の夕方か、日の出前の朝方に見ることができます。

惑星パレードのイメージ

黄道座標の惑星直列

軌道上で直列しているという位置は次のようになります。地球と太陽を通る直線上に惑星が置かれている状況です。まさに直列です。

惑星直列のイメージ

この時の空の様子はどうでしょうか?。まず真夜中の南の空に火星、木星、土星、天王星、海王星が重なって見えます。多少の軌道のずれで重なるように見えることでしょう。パレードを横からではなく、前から見るようなイメージで一番先頭に火星が見え、その近くに木星や土星が見えるイメージです。では、水星と金星はどうでしょう?。こちらは太陽の方向にあります。昼間、南中した太陽面の中に、水星と金星がシルエットのように黒い影で映し出されることでしょう。

惑星直列のイメージ
惑星直列のイメージ

このように地球と太陽を通る直線上に惑星が一直線に並ぶのはどれぐらいの頻度で起こるのしょうか。惑星はそれぞれ公転周期が異なります。地球の公転を1年とすると次の表のようになります。

惑星名(和名)惑星名(英名)公転周期(年)
水星Mercury0.2 年
金星Venus0.6 年
地球Earth1.0 年
火星Mars1.9 年
木星Jupiter11.9 年
土星Saturn29.5 年
天王星Uranus84.0 年
海王星Neptune164.8 年
表:惑星の公転周期

惑星が同じ位置に戻ってくる時間はそれぞれの惑星の公転周期の最小公倍数になります。ただし、地球は(実際あり得ませんが)その位置から動かないとして計算すると554万年にまります。しかし実際は地球も公転しているために簡単には計算できませんね。
例えば上の表で地球と火星の最小公倍数を計算すると1.0✖1.9で1.9年となります。実際の観測では火星大接近は2年2カ月毎(2.16年毎)ですので1.9年ではありません。理由は火星が1.9年たったころ地球は2周していなくて火星の一歩後方にいます。地球が火星に追いつくためにはもう少し時間がかかり、1.9年ではなく2.16年かかるということです。こういったことを考慮すると、554万年よりも長い時間が出てきそうです。

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惑星直列による天変地異

人類は珍しい現象に対して「天変地異が起こる」と騒ぎたてまくります。物理的に計算したところ、惑星直列による天変地異(地震や津波や噴火)は考えられません。
見かけの惑星直列の場合、実際の惑星位置は分散してるので、重力の影響はありません。
黄道座標の惑星直列の場合、7つの惑星の合力(万有引力)はどれくらいか計算します。万有引力は距離の2乗に反比例するため、遠くにある惑星の影響はほとんど受けません。むしろ日頃一番影響を受けているのは地球から近い「月」であり、「月」のおかげで塩の満ち引きが起こっています。月の引力(潮汐力)に惑星の合力を足し算したところで、ほとんど変わらないという結果になりました。
 月の引力(潮汐力)>>惑星の合力
結果、天変地異は心配はいりません。

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まとめ

惑星直列と惑星パレードは同じ意味で見かけの惑星の位置が並んで見えることを指します。黄道座標の惑星直列が起こる年月は計算できないくらい未来の話です。

おまけコーナー

いかがだったでしょうか。
この記事を書くきっかけになったのは、私自身、惑星直列という言葉がノストラダムスの大予言に絡み、黄道座標に一直線のイメージがありました。お互いの重力によって、何か地球上に天変地異が起こる、人類滅亡のような話を聞いたからだと思います。惑星パレードという言葉はここ最近出てきた言葉かなと思います。そういった部分もあって、自分自身の中で混乱があり、調べて記事にまとめることになりました。知ってる方もいらっしゃるかもしれません。お騒がせしました。
夜空に惑星がピッタリ同じ位置に重なる日はいつか。その頃、我々人類、太陽系はなくなっているかもしれません。研究された方がいらっしゃったらコメントをください。
意見などございましたらコメントに投稿お願います。

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