2025年 おすすめの天文現象は何?
(2025年1月17日更新)
こんにちは、星空好きの皆さん!2025年も珍しい天体現象が待っていますよ。空を仰ぎ見て、宇宙の不思議な世界にドキドキしませんか?。
この記事では、私がおすすめする2025年の天文現象を紹介します。あなたと天文現象を繋ぎます。今年の天体観測計画にお役に立てていただければと思います。
この記事でわかること |
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・2025年は9月に皆既月食があることがわかる ・15年ぶりに土星の環の消失が3度起こることがわかる ・金星が同じ日に2回(夕方と朝方)見れるレアな現象が起こることがわかる |
2025年 おすすめの天文現象
2025年のおすすめ天文現象は9月8日の皆既月食です。前回は2022年11月8日に全国で皆既月食が見られました。3年ぶりの現象です。
皆既月食
全国で9月8日の深夜1時30前から始まります。よって、9月7日の夜から準備が必要です。赤褐色の月(皆既)は1時間22分間続きます。全体は3時間30分間続きます。工程は以下の通りです。
9月8日深夜 | 行程 | 備考 | イメージ画像 | |
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1 | 1時27分頃 | 部分食始まり | かけ始め | |
2 | 2時2分頃 | 部分月食 | 月食前半 | |
3 | 2時31分頃 | 皆既月食始まり | 赤褐色の月始まり | |
4 | 3時12分頃 | 皆既月食最大 | 一番月が暗くなる 写真のチャンス | |
5 | 3時53分頃 | 皆既月食終わり | 赤褐色の月終わり これから明るくなっていく | |
6 | 4時26分頃 | 部分月食 | 月食後半 | |
7 | 4時56分頃 | 部分食終わり | かけ終わり |
夏の深夜の現象です。夏の朝方は気温も下がり観察しやすい条件でしょう。
2025年のこよみ
2025年の天体の運動から決まった暦(こよみ)です。
日付 | 節期・行事・現象 | |
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1 | 2月2日 | 節分 |
2 | 3月20日 | 春分の日 |
3 | 5月1日 | 八十八夜 |
4 | 6月21日 | 夏至 |
5 | 7月19日 | 土用の丑 |
6 | 8月29日 | 伝統的七夕 |
7 | 9月23日 | 秋分の日 |
8 | 10月6日 | 中秋の名月 |
9 | 11月5日 | スーパームーン |
10 | 12月22日 | 冬至 |
2025年 レアな天文現象
レアな現象はこの2つ。
・15年ぶりに土星の環の消失が起こります。地球からたまたま環が見えなくなります。環がこの世から無くなってしまうわけではありません。
・金星が同じ日に2回(夕方と朝方)見れる現象が起こります。普段は1回(夕方か朝方)です。
土星の環の消失
土星は太陽の周りを約30年かけて1周します。土星の自転軸は傾いているため土星の環も傾いて見えます。地球から見るとその傾きが年々変化して見え、30年後には同じ傾きに見えます。30年の半分、つまり15年に一度、土星の環が地球に対して水平になり、薄すぎる環が見えなくなります。土星の環が見えなくなる現象は3回起こります。
日付 | 観察のしやすさ | 時間帯 | 方向 | 高度 | |
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1回目 | 3月24日 | 太陽が近くて非常に難しい | 明け方 | 東 | 2°以下 |
2回目 | 5月7日 | 低空で難しい | 明け方 | 東 | 10° |
3回目 | 11月25日 | 見やすい | 日没後 | 南 | 50° |
金星が同じ日に2回(夕方と朝方)見れる
金星が同じ日に2回(夕方と朝方)見れます。
2025年3月18日〜21日
夕方と朝方の両方見れるのは珍しい。次回2033年まで見られません。
その他の天文現象
皆既月食のほかにも天文現象があります。中には観察が難しかったり、双眼鏡や天体望遠鏡が必要な場合もあります。
火星の接近
2年2ヶ月ぶりに火星が接近します。
2025年1月12日 火星接近
20時ごろ月の東側(下側)に高度30°に光る赤い明るい星が火星です。明るさは-1.4等星で視直径は14.6秒角。
全国で肉眼で楽しむことができます。双眼鏡、天体望遠鏡があればなお良いです。
赤い星はこのほかにおうし座の1等星アルデバランやオリオン座の1等星ベテルギウスがあります。見比べてみましょう。
翌1月13日や1月14日は満月の近くに光る赤い明るい星が火星です。
なお、2025年5月5日には火星がM44(かに座の散開星団)に接近します。
見逃したからは2025年の春先前まで赤い明るい星が火星を観ることができます。さらに上の資料のように次回の火星接近は2027年2月20日です。2025年よりやや小さめ。では大きく見える時はといえば2035年9月11日(大接近)です。2035年といえば日本で金環日食が見える年です。しかも同じ9月です。是非未来カレンダーに登録しておきましょう。
さらに火星大接近はおよそ15年~17年ごとに起こります。21世紀の火星大接近の一覧です。あなたは何歳でしたか。また何歳になっていますか。
年 | 日付 | 明るさ(等級) | 視直径(秒角) | 備考 |
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2003年 | 8月27日 | -2.9 | 25.1 | 21世紀最大の接近 |
2018年 | 7月31日 | -2.8 | 24.3 | |
2035年 | 9月11日 | -2.8 | 24.6 | |
2050年 | 8月15日 | -2.9 | 25.0 | |
2065年 | 7月20日 | -2.7 | 23.4 | |
2067年 | 9月26日 | -2.7 | 23.6 | |
2082年 | 8月31日 | -2.9 | 25.1 | |
2097年 | 8月4日 | -2.8 | 24.5 |
惑星直列(7つの惑星パレード)
3年ぶりに惑星パレードが起こります。
2025年2月28日前後の日の入り直ぐ、空を見上げると7つの惑星が同時に現れる現象が起こります。別名「惑星直列」とも呼ばれます。日が沈む西の空の反対側の南東の空から順に「火星」、南の空に「木星」、西に向かって「天王星」、「金星」、「海王星」、「水星」、「土星」の並びです。
星の名 | 方向・高度・見え方 | 明るさ | 肉眼 | 双眼鏡 | 望遠鏡 | 写真撮影 |
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火星 | 南東:54° 明るく赤色に見える | -0.3等星(非常に明るい) | 〇 | 〇 | 〇 | スマホOK カメラOK |
木星 | 南:76° 明るく黄色に見える | -2.3等星(非常に明るい) | 〇 | 〇 | 〇 | スマホOK カメラOK |
天王星 | 南西:67° 暗く見つけにくい | 5.7等星(暗い) | × | △ | 〇 | スマホ× カメラ難 |
金星 | 西:29° 明るく見つけやすい | -4.6等星(非常に明るい) | 〇 | 〇 | 〇 | スマホOK カメラOK |
海王星 | 西:16° 非常に暗く見つけにくい | 8.0等星(非常に暗い) | × | × | 〇 | スマホ× カメラ難 |
水星 | 西:12° 低空で見つけにくい | -1.0等星(明るい) | × | △ | 〇 | スマホ難 カメラOK |
土星 | 西:7° 低空で見つけにくい | 1.1等星(明るい) | × | △ | △ | スマホ× カメラOK |
なお、方向や高度は東経135°北緯35°(日本のおへそ)で2025年2月28日18:00の値となります。
実は3年前の2022年にも惑星パレードがありました。パレードの順番や間隔や見え方は2025年と違っていることが分かります。
流星群
流星群は誰でもどこでも楽しめる天文現象です。天体望遠鏡や双眼鏡といった道具は必要ありません。肉眼で観察できます。
今年の流星群は
- 2025年1月4日 しぶんぎ座流星群
極大は4日の朝方(3日の夜)。 月明かりなく最高の条件です。 - 2025年8月12日~13日 ペルセウス座流星群
月齢19の満月過ぎた明るい月で条件は悪い。朝方が見頃。
楽しく見るコツはこちら
- 2025年12月14日~15日 ふたご座流星群
月齢25細い月で条件は良い。朝方が見頃。
食(eclipse)
星同士が重なり合って、隠したり隠れたりする現象を「食」と言います。見かけの方向が全く同じ場合にしか発生しないため、珍しい現象と言えます。
今年の食はプレアデス星団食の当たり年です。
- 2025年3月5日 プレアデス星団食
22時頃から。月齢 6の月。双眼鏡で楽しむことができます。望遠鏡があればなお良いです。 - 2025年8月16日 プレアデス星団食
23時頃から。月齢23の月。東の空 。双眼鏡で楽しむことができます。望遠鏡があればなお良いです。 - 2025年11月6日から7日 プレアデス星団食
23時頃から。ほぼ満月の月が隠していく。双眼鏡で楽しむことができます。望遠鏡があればなお良いです。 - 2025年12月31日から翌正月 プレアデス星団食
22時頃から。月齢11の月。双眼鏡で楽しむことができます。望遠鏡があればなお良いです。
会合(rendezvous)
見かけの方向がほぼ同じ場合で、星と星が接近しているように見える現象です。randezvous(ランデブー)とは男の子と女の子が時間と場所をきめておいて出会うことです。肉眼で楽しむことができます。双眼鏡があればなお良いです。
今年の会合は
- 2025年1月18日 金星と土星の接近
-4.5等星の金星。1.1等星の土星。離角2.0°。西の空。 - 2025年2月1日 月と土星の接近
月齢2.9の細い月。1.3等星の土星。離角3.1°。西の空。 - 2025年2月9日 月と火星の接近
月齢11の月。-0.8等星の火星。離角1.2°。 - 2025年6月17日 レグルスと火星が接近
1.4等星のレグルス。1.4等星の火星。離角0.8°。西の空。 - 2025年8月12日 金星と木星が接近
-4.0等星の金星。-1.9等星の木星。離角1.0°。早朝の東の空。 - 2025年9月1日 プレセペ星団と金星が接近
-3.9等星の金星。かに座のプレセペ星団(M44)。離角1.2°。早朝の東の空。 - このほかに月と金星のランデブーがあります。
まとめ
誰でも気軽に観察できる天文現象を紹介しました。もし双眼鏡や天体望遠鏡を持っているなら、会合や彗星の観察、撮影などにチャレンジしてみてください。
おまけコーナー
この記事を書いていて気付いたことが2つありました。
1つ目は「わ」の漢字変換です。土星の「輪」「環」。どちらも「わ」ですが意味の違いを調べてみました。
・「輪」は「単なる円形の物体や形状」を表す意味合いが強い。
・「環」は「周りをグルリと回る、一周して戻ってくる」という意味合いがある。指環、環境。
「環」の方が意味深いのだと感じました。
2つ目は火星の衝は1月17日、しかし火星最接近は1月12日。なぜ5日ズレが生じるのか疑問になりました。衝は「太陽-地球-火星」が一直線に並んだ時。火星も地球も同じ重心点で完全な軌道離心率0の円軌道ならば衝と最接近は同じ日になる。でも実際は違う。これは地球も火星も楕円軌道だから必ずしも衝の時が最接近とは限らないということなんだ。
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